2013年01月27日

すべてが”0と1”になる前に−−インターネット未認識層にfingerせよ−−

 僕が初めて大学のサーバに*ログインして、コマンドでメールを読んだのが
 4年前の春。まだまだ、静かにThe Netがはやり始めた頃で
 −−ネットスケープのバージョンが1だったと言った方が感覚的には
 わかりやすいかもしれない。

 日進月歩の何倍もの速さで、ネットの世界は波打ち続けている。

 *Web絵本を作ることになって、大学の広報部に取材を受けたのが、
 96年の夏。いくつか質問を受けていて、答えられなかったことが
 ひとつあった。
『自分や周囲の人間が、ネットの世界にはまりこんで(依存して)
 抜けられなくなる危機感を持っていたり、万一そうなった時の対応を
 考えているか?』
 僕はその時は苦笑いして、言葉をにごした。

 つい最近に、メールからインターネットをはじめた友人も、ゼミの仲間も、
 今の通信生活が便利だと言う。みんながメールを使うようになれば
 いいのになあ、と目を輝かせて話をしてくれた人もいる。
 僕はうなづきながら、それが完全に「正しい」ことではないんだと、
 自分に言い聞かせる。

 いつか、ほぼ全ての情報は0と1の信号、電子ファイルとなって、
 作成、管理、加工、保存をされるであろう(便利で劣化しないから)。
 しかし、これと「ネットを使えるかどうか」は、別問題なのである。
「君は、能楽の魅力を知っているかい?」と問いかけるのと、「まだ」
 レベルは同じで、決して知らなくてできない人びとに冷たいまなざしを
 向けてはいけない。僕らが最新のハードやソフトを使いこなす前に、
*『インターネット未認識層』をしっかり捉えなくてはならないのだ。

 僕は初めてメールを投げた日から、確実に人生の新しい時代に踏み込んだ
 と思っている。それを肯定でも、否定するでもなく、全員がそうなるとは
 限らないと、ほんの少しでも覚えていてほしいのだ。

 あの時の『質問』に、いつかはっきりと答えようと、僕はネットを使って
 物書きを続けている。もうすぐそれは、未来に希望がある限り、
 きっとかたちになる、と信じている。


 デジタルとアナログの交差点から、5回にわたり、僕が今まで感じたことを
 書いてきた。手書きの原稿をホームページに変えて、みなさんのモニタに
 お届けしたい。

 メールを出そう。外に出かけよう。チャットをしよう。散歩しながら
 いろいろ話そう。*オンライン・ゲームをやろう。テニスをしよう。
 *オフライン・ミーティングで会おう。手紙を書こう。……

#23/01/1999, 09/03/2000
−−−−−−−−−−−−
初心者のための用語解説:

*finger:
UNIXのコマンド名。finger misaki などと入力すれば、misakiと
いう人の情報が得られる。UNIXとは、メールの送受信や、
ホームページのファイルを置いている「サーバ」に積まれているOS
(オペレーション・システム)のひとつ。

*ログイン:
ユーザの名前と、パスワードを記入して、サーバに入ること。

*Web絵本:
ホームページの形で、絵とお話を作ったもの。動画が使えたり、
音を加えることができるのが魅力。あとは通信回線がもっと太く
なれば、手軽に楽しめるようになる。

*『インターネット未認識層』:
僕の造語。インターネットがなんなのか、よくわかっていない人。

*オンライン・ゲーム:
テーブルゲームやロールプレイングゲームなどで、ネットを介して
対戦相手を見つけてプレイするもの。

*オフライン・ミーティング:
普段メーリングリストやチャットなど、ネット(オンライン)でしか
会っていない人たちが、実際に会ってイベントを行うこと。
タグ:1999 2000
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