パソコンで何ができるか?−−初心者の方は、よく僕にそう聞いてくる。
僕はこう答える。「何でもできる」と。
僕は中学生の頃、パソコンがあれば、あの「*ドラクエ」を作ることが
できる、と信じこんでしまっていた。*ファミコンで動く、
ファミリーベーシックをちょっとだけ触っていたからかもしれない。
それは少しだけ違っていたようで、道具(ツール)と思えるなら、
パソコンは強力な「右腕」となって、僕らを助けてくれるのだと、
使い続けてゆくうちに知った。
何でもパソコンが「やってくれる」と甘い思いを抱いて、
*電気街へ行ってしまったら、きっとその時買って来た大きな本体は、
使い道のはっきりしないまま、ほったらかしにされてしまうだろう。
*タワー型の本体なんて、ミカン箱よりもたちが悪い。上に本を置いて
勉強することすらできないから、困ったものだ。
パソコンを買おう、とあなたが思うなら、まずメモ用紙に
「何をするために」かをはっきり書く。絵を描くため、音楽を創ったり
聴くため、ホームページを見てメールを書くため……単にばく然と
欲しいから、という「もやもや」は消してしまった方がいい。
それからサイフと店の人と相談すれば、「ただの鉄の箱」になってしまう
こともないだろう。
買って間もない頃は、いろんなことをパソコンでやりたくなってくるが、
全部を「任せない」ことが上達への近道だ。僕も昔、何から何まで
書くものをテキストファイルにしたことがあったけれど、
ある日考えていることがなかなか打ち出せなくなって、結局ノートを
買って落書きを再開した。ツールの一つだ、と思ってからは、
パソコンと楽につきあえるようになった。
今年の年賀状も、手描きの絵をスキャンして、お絵かきソフトで
多色刷りの原稿を作り、ワープロソフトで黒だけ印刷、あとは
*プリントゴッコでぺたぺたと−−と、用途に応じて使い分けた。
不況不況と言われても、暗い時代だと噂されても、元気良く成功している
人や企業は、小さな機会(チャンス)を見逃さずに生かす天才なのだ。
今、急激にインターネットを使う人びとが増えているが、世界につながる
端末となるパソコンにも、まだまだ無限の可能性がある。
やってみたいことはないだろうか。ツールさえあれば楽になることは?
始めたばかりの人も、だいぶ慣れてきた人も、自分らしい使い方で、
今使っているパソコンをもっと、「夢の実行装置」に近づけてほしい。
#16/01/1999,09/03/2000
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初心者のための用語解説:
*ドラクエ:
ドラゴンクエストの略。ファミコンで発売されたロールプレイング
ゲームで、その感動を経験された方も多いことでしょう。
*ファミコン:
テレビゲーム機械の代名詞ともなった、任天堂が発売した
テレビゲーム機械「ファミリーコンピュータ」の略称。
*ファミリーベーシック:
ファミリーコンピュータで動く、BASIC(プログラム言語の
ひとつで、初心者も理解しやすい)システム。キーボードと
カセットがセットで売られていた。データのバックアップは、
カセットの単三電池か、カセットテープでとる。
*電気街:
電機街ともいう。パソコンや家電製品の店が集まっている地域。
大阪なら日本橋、東京なら秋葉原が有名。
*プリントゴッコ:
家庭用謄写印刷機。たぶん日本で一番普及していると思うので、
代名詞として使わせてもらった。